おやすみ マーニ。 マーニ (オートバイ)

パンの国 マーニ 新潟県

おやすみ マーニ

ずいぶん昔の話で恐縮だが、1987年頃、私は西表島の山中で2日間遭難してしまったことがあった。 その日は午後になって天気が急変し、まわりの音をすべてかき消してしまうほどの土砂降りに見舞われた。 急いで帰路についたのだが、歩いていた道がまたたく間に水であふれ、いつの間にかもと来たコースを見失ってしまった。 ただでさえ薄暗い西表島のジャングルが、まるで夕暮れのようになり、おまけに激しい雨のせいで視界は一層せばめられてしまった。 夕暮れの時間が近づくにつれ暗さは一層増してきたので、これ以上動くのは危険と判断し野宿することに決めた。 といっても日帰りの予定だったので、テントなどは用意していない。 そこで、私はまずこの地方で「マーニ」と呼ばれている植物を探した。 マーニはコミノクロツグというヤシ科の植物で、西表島の森では普通に自生している。 周りを見わたすと、すぐに見つかった。 私はその大きな葉を何枚か集め、細い木で作った骨組みの上にその葉で屋根を葺いた。 そして、屋根の下にも何枚か敷いて寝床を作った。 雨はいつの間にか小降りになっていたが、雨露をしのげる環境を確保した。 柔らかい筍のようなマーニの芯で飢えをしのぐ 翌日、ほとんど眠ることができないまま朝をむかえた。 西表島には大小あわせると40以上の川があり、それに加えて小さな沢がいくつもあるので飲み水には困らない。 あとは飢えを凌ぐための食べものを確保すれば数日間はどうにかなる。 すぐに思い浮かんだのは、「山の中でひもじくなった時は、マーニの芯をかじる」という地元の人から聞いた話だった。 とはいえ、食べ方がよくわからない。 闇雲に茎を削ってその芯を囓ってみたが、とても固くて食べられなかった。 ていねいにマーニの茎を裂いてみると、やわらかい部分を見つけた。 それは、木の先端の新葉のすぐ下にある「随」で、囓ってみると柔らかい筍のようだった。 ほんのりとした甘味もある。 空腹とはいえ、こんなに美味しいものだとは想像していなかった。 マーニの葉でテナガエビを獲る その芯をかじりながら、私はマーニの葉で工作をはじめた。 これも地元の人から教わったものだが、マーニの小葉をとり、主脈だけを残して両側を手でそぎ落とす。 一本の細い棒になったらそれをナイフで細く削り、先端をカーボーイの投げ縄の要領で輪を作る。 輪の中にものを入れて引っ張れば、きゅっと締まる仕掛けにだ。 この仕掛けは、この地方で昔、子供たちが川にいるテナガエビを捕るための遊び道具だったと教わったことがあった。 西表島の川や沢には上流から下流まで10種類以上のテナガエビが生息していて、簡単に見つけることができる。 エビの尻尾の方からそっと輪を通し、素早く引くと輪が絞まり、テナガエビを釣り上げることができるというわけだ。 ほかの植物ではなくあえてマーニを使うのは、繊維が強く、ちょっと引っ張ったくらいでは簡単に切れないからだ。 私は道具を作って、適当な沢へおりて、流れの緩やかな場所でテナガエビを探した。 マーニの小葉で作ったエビ捕り道具は、長さがせいぜい40〜45センチ程度なので、獲物の近くへ寄らないとその胴体へ輪を通すことができない。 そんな短いリーチで、どうやってエビに近づこうかと沢に足をつけて考えていると、あろう事か何匹かのテナガエビが向こうから集まってきたのだ。 その名の通りハサミのついた前足が極端に長く、中には身体の大きさだけで15cmくらいの大物もいた。 好奇心が強いようで、私の脚を長い脚でつついてきた。 ここまで近寄ってくれれば完全に射程距離だ。 立て続けに、大きなテナガエビを3匹もつり上げた。 しかし、その後は大きな個体だけが警戒するようになり、私に近寄らなくなってしまった。 おそらく「危険である」と学習したのだろう。 別のポイントへ場所を移すと、やはり大物を3匹までは捕ることができた。 どうやら、このやり方では一つの場所で、3匹捕るのが限界のようだった。 結局、私は沢の水を飲み、マーニの芯とテナガエビで食いつなぎ、無事に帰路につくことができた。 いささか大げさな言い方になるが、マーニと地元の人の知恵が、私にとっては命の恩人ということになる。 そんなわけで、この連載が始まったときに、いつかマーニをテーマにしてみようと考えていた。 そこで、この連載で何度も登場していただいた祖納集落在住で、物作りの達人・星さんに人々の暮らしとマーニついて尋ねてみた。 星さんの話では、マーニとアダンが特に暮らしの中で重宝された植物だったという。 アダンについては折を見て別の機会に話すとして、マーニからは、主に牛の鼻綱、小舟のアンカーを結ぶロープ、籠、子供用の玩具などが作られたそうだ。 私が特に感心をもったのは、マーニのロープだった。 現在ではナイロン製のロープを誰もが使っているので、マーニのロープを目にすることはない。 だからこそ、普通に自生している植物で牛や小舟をつなぐことができるほどに強度のあるロープを作ることができるのか、興味が湧いた。 ちょうど、星さんもマーニの材料採りをしようと思っていたそうなので、同行させてもらった。 マーニは集落の敷地内にも普通に生えていた。 星さんはマーニのロープはフガラから作られるのだと説明してくれた。 フガラとは幹をとりまくようについた黒い繊維質のシュロ毛の事で、枯死した葉鞘(ようしょう)の繊維が残ったものだ。 大ざっぱに言えば、葉の一部ということになる。 星さんはマーニを1本切り倒し、幹に巻きついたフガラを剥ぎ取っていった。 それは長い毛のついた筍の皮のようなもので、さらにそれを木に巻き付けてシュロ毛の部分だけを剥ぎ取っていった。 剥ぎ取られたシュロ毛は1週間ほど田んぼの泥につけることで不純物が取り除かれ、ロープの材料が出来上がる。

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ソールとマーニ、北欧神話の太陽と月を司る神

おやすみ マーニ

ずいぶん昔の話で恐縮だが、1987年頃、私は西表島の山中で2日間遭難してしまったことがあった。 その日は午後になって天気が急変し、まわりの音をすべてかき消してしまうほどの土砂降りに見舞われた。 急いで帰路についたのだが、歩いていた道がまたたく間に水であふれ、いつの間にかもと来たコースを見失ってしまった。 ただでさえ薄暗い西表島のジャングルが、まるで夕暮れのようになり、おまけに激しい雨のせいで視界は一層せばめられてしまった。 夕暮れの時間が近づくにつれ暗さは一層増してきたので、これ以上動くのは危険と判断し野宿することに決めた。 といっても日帰りの予定だったので、テントなどは用意していない。 そこで、私はまずこの地方で「マーニ」と呼ばれている植物を探した。 マーニはコミノクロツグというヤシ科の植物で、西表島の森では普通に自生している。 周りを見わたすと、すぐに見つかった。 私はその大きな葉を何枚か集め、細い木で作った骨組みの上にその葉で屋根を葺いた。 そして、屋根の下にも何枚か敷いて寝床を作った。 雨はいつの間にか小降りになっていたが、雨露をしのげる環境を確保した。 柔らかい筍のようなマーニの芯で飢えをしのぐ 翌日、ほとんど眠ることができないまま朝をむかえた。 西表島には大小あわせると40以上の川があり、それに加えて小さな沢がいくつもあるので飲み水には困らない。 あとは飢えを凌ぐための食べものを確保すれば数日間はどうにかなる。 すぐに思い浮かんだのは、「山の中でひもじくなった時は、マーニの芯をかじる」という地元の人から聞いた話だった。 とはいえ、食べ方がよくわからない。 闇雲に茎を削ってその芯を囓ってみたが、とても固くて食べられなかった。 ていねいにマーニの茎を裂いてみると、やわらかい部分を見つけた。 それは、木の先端の新葉のすぐ下にある「随」で、囓ってみると柔らかい筍のようだった。 ほんのりとした甘味もある。 空腹とはいえ、こんなに美味しいものだとは想像していなかった。 マーニの葉でテナガエビを獲る その芯をかじりながら、私はマーニの葉で工作をはじめた。 これも地元の人から教わったものだが、マーニの小葉をとり、主脈だけを残して両側を手でそぎ落とす。 一本の細い棒になったらそれをナイフで細く削り、先端をカーボーイの投げ縄の要領で輪を作る。 輪の中にものを入れて引っ張れば、きゅっと締まる仕掛けにだ。 この仕掛けは、この地方で昔、子供たちが川にいるテナガエビを捕るための遊び道具だったと教わったことがあった。 西表島の川や沢には上流から下流まで10種類以上のテナガエビが生息していて、簡単に見つけることができる。 エビの尻尾の方からそっと輪を通し、素早く引くと輪が絞まり、テナガエビを釣り上げることができるというわけだ。 ほかの植物ではなくあえてマーニを使うのは、繊維が強く、ちょっと引っ張ったくらいでは簡単に切れないからだ。 私は道具を作って、適当な沢へおりて、流れの緩やかな場所でテナガエビを探した。 マーニの小葉で作ったエビ捕り道具は、長さがせいぜい40〜45センチ程度なので、獲物の近くへ寄らないとその胴体へ輪を通すことができない。 そんな短いリーチで、どうやってエビに近づこうかと沢に足をつけて考えていると、あろう事か何匹かのテナガエビが向こうから集まってきたのだ。 その名の通りハサミのついた前足が極端に長く、中には身体の大きさだけで15cmくらいの大物もいた。 好奇心が強いようで、私の脚を長い脚でつついてきた。 ここまで近寄ってくれれば完全に射程距離だ。 立て続けに、大きなテナガエビを3匹もつり上げた。 しかし、その後は大きな個体だけが警戒するようになり、私に近寄らなくなってしまった。 おそらく「危険である」と学習したのだろう。 別のポイントへ場所を移すと、やはり大物を3匹までは捕ることができた。 どうやら、このやり方では一つの場所で、3匹捕るのが限界のようだった。 結局、私は沢の水を飲み、マーニの芯とテナガエビで食いつなぎ、無事に帰路につくことができた。 いささか大げさな言い方になるが、マーニと地元の人の知恵が、私にとっては命の恩人ということになる。 そんなわけで、この連載が始まったときに、いつかマーニをテーマにしてみようと考えていた。 そこで、この連載で何度も登場していただいた祖納集落在住で、物作りの達人・星さんに人々の暮らしとマーニついて尋ねてみた。 星さんの話では、マーニとアダンが特に暮らしの中で重宝された植物だったという。 アダンについては折を見て別の機会に話すとして、マーニからは、主に牛の鼻綱、小舟のアンカーを結ぶロープ、籠、子供用の玩具などが作られたそうだ。 私が特に感心をもったのは、マーニのロープだった。 現在ではナイロン製のロープを誰もが使っているので、マーニのロープを目にすることはない。 だからこそ、普通に自生している植物で牛や小舟をつなぐことができるほどに強度のあるロープを作ることができるのか、興味が湧いた。 ちょうど、星さんもマーニの材料採りをしようと思っていたそうなので、同行させてもらった。 マーニは集落の敷地内にも普通に生えていた。 星さんはマーニのロープはフガラから作られるのだと説明してくれた。 フガラとは幹をとりまくようについた黒い繊維質のシュロ毛の事で、枯死した葉鞘(ようしょう)の繊維が残ったものだ。 大ざっぱに言えば、葉の一部ということになる。 星さんはマーニを1本切り倒し、幹に巻きついたフガラを剥ぎ取っていった。 それは長い毛のついた筍の皮のようなもので、さらにそれを木に巻き付けてシュロ毛の部分だけを剥ぎ取っていった。 剥ぎ取られたシュロ毛は1週間ほど田んぼの泥につけることで不純物が取り除かれ、ロープの材料が出来上がる。

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マーニの日記/月の時間/暮らしの雑貨マーニ・マーニの家

おやすみ マーニ

ソールとマーニは北欧神話の太陽と月を司る神。 元は人間ながらその美しさゆえ天界に迎えられ、太陽と月を乗せた馬車の従者という大変な任に就くことになります。 常にスコルとハディという巨大な狼に追われ、ではついに追いつかれてしまうという運命。 日本のや、ギリシャ神話のや(あるいはとセレネ)に比較して、過酷な任を果たさなければならないソールとマーニに注目です。 世界がまだ闇に閉ざされ、に神々が住み始めた世界の始まりの頃、が巨人を解体して作った人間たちの子孫の中に、ムンディルフェルという男がいました。 ムンディルフェルには妻グレンの間に双子の姉弟が生まれます。 ともに 輝くような金色の髪を持つ美しい子供達です。 ムンディルフェルは その美しさを喜び、姉は「ソール(太陽)」、弟は「マーニ(月)」と名づけます。 けれど 神々は人間が太陽や月の名を語ることに怒ります。 神々は怒りを父ムンデルフェリではなくその子供たちに向け、 ふたりを捕らえ、天に召し上げます。 けれどオーディンでさえその美しさは神に並ぶものと認め、 ソールとマーニは人間でありながらアースガルドに住むことを許されます。 そのふたりには神としての仕事も与えられます。 ソールは太陽を引く馬車の御者、マーニは月の満ち欠けを司り月を引く馬車の御者。 そしてそれぞれ、 ソールにはアールヴァク(「早起き」の意)、マーニにはアルスヴィズ(「快速」の意)という名の馬が与えられます。 太陽と月は走ることで熱を発するため、馬車にはふいごという、天体を冷ます装置が取り付けられ、熱を冷ましながら走ります。 ソールとマーニが天上に迎えられ、天空を疾走することで世界は明るく照らされるようになるのです。 出典: ソールとマーニが太陽と月を司るようになったある日、オーディンはふたりに、 それぞれの 馬車が狼に追いかけられることになると告げます。 その狼はと巨人族のアングルボザの間に生まれた長男、巨大な狼の息子たち。 太陽の女神ソールはスコル、月の男神マーニはハディという名の狼にそれぞれ追われることになります。 そのため 彼らは非常に速いスピードで天空を翔けなければなりません。 ソールかマーニが狼に追いつかれると噛みつかれ、日食や月食が起こります。 そして 最終戦争ラクナロクには、ついに狼に追いつかれ天体もろとも飲み込まれてしまいます。 けれど、太陽の女神ソールには美しい娘がいて、ラグナロクの後にはソールの娘が天空を照らすようになります。 『古エッダ』の『グリームニルの歌』では「 天の花嫁」。 『ヴァフズルーズニルの歌』では「 妖精の栄光」と表現されています。 『グリームニルの歌』によると、 大地と太陽との間にはスヴェルという楯があり、それが太陽の膨大な熱を遮り、大地を守っているのです。 そしてラグナロク後の新しい世界では、ソールの娘がその役割を引き継ぐことになります。 ビルとヒューキは一説には月の擬人化であるとされ、彼らが月に付き添う姿は、地上からも見えると伝えられています。 『ギュルヴィたぶらかし』によると、 ラグナロクにおいて、月は「憎しみ」「敵」を意味するハティ Hati または月の犬を意味するマーナガルムに捕らえられてしまいます ソールとマーニ、現代でもワンセット? 出典: 「 パズル&ドラゴンズ」のソールとマーニは期間限定の降臨ダンジョン「ソール&マーニ 降臨!【全属性必須】」として登場しています。 出典: 剣と英雄のファンタジーRPG「 ブレイドストーリー」では光属性のディフェンダータイプのステイタスの双刻麗神ソール&マーニとして登場です。 ソールとマーニ まとめ ただ美しいということでアスガルドに住まい、太陽と月の運行を任される、これは幸運と捉えるべきか不運と捉えるべきか。 ただ、人間であるにも関わらず、ラグナロクまでの間その任務を全うしたソールとマーニはエライ!、ですっ.

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