足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件。 両親に懲役9年と4年の判決 ウサギ用ケージ男児監禁死:朝日新聞デジタル

うさぎケージ事件の『家族』~悪魔の夫婦と7人の子羊・前編

足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件

作者:石井 光太 出版社:新潮社 発売日:2016-08-18• タイトルだけを見れば、自分には理解できない種類の人たちが、目を覆いたくなるような行為ばかり繰り広げる内容と思われるかもしれない。 だがその予想は、大きく裏切られることになるだろう。 最初はよくある感情の行き違い程度なのだが、それが引き寄せられるようにいくつも重なり合い、気付けば取り返しのつかないことになっているーーそんな印象だ。 本書『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』で紹介される3つの事件は、実子への虐待、殺人、死体遺棄などで世間を賑わせたものばかりである。 厚木市幼児餓死白骨化事件、下田市嬰児連続殺害事件、そして足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件。 本書はこれらの事件の詳細を、丁寧に追いかけたルポルタージュである。 ネグレクト、DV、嬰児殺し。 この手の事件が起これば、その親たちは「鬼畜」と呼ばれ、その非道な行為は瞬く間に広まっていく。 だが、犯人たちは、いずれも法廷でこう述べた。 「愛していたけど、殺してしまいました」と。 それはある意味において真実であり、量刑を軽くするための言い逃れからくるだけの言葉ではなかった。 彼らは方法も感覚も大きく間違えていたが、心の底からそう思っていたフシも伺えるから話は複雑なのである。 それならば、なぜ彼らは虐待を続け、そして子供たちは命を奪われることになったのか。 事件が起きた場所も経緯もまったく異なる3つの事件だが、直接手を下した親たちには共通の気質がある。 その1つが「極めて強い受動的な対処様式」というものだ。 下田市嬰児連続殺害事件を起こした高野 愛。 彼女は高校2年生の時から10年余りの間に、8人の子供を妊娠している。 妊娠した時の相手は様々だが、常に相手の男性に認知や養育費を請求することはなかった。 そして中絶しようにも費用がなく、周囲に相談できぬまま出産時期を迎えてしまい、自宅で人知れず出産したことも数回あったという。 親戚や親からは「生活費」という名目で給料を搾取されており、「仕方ない」と受け入れる度に、彼女は都合の良いだけの存在へと成り下がっていく。 常人ならありえないと感じるような状況でも、何とかなるという思いだけで全てを受け入れてしまうのだ。 彼女の行動の中に、現実と向き合って解決策を練るといった方法は存在しない。 もう一つの顕著な気質は、「育児イメージの乏しさ」というものである。 厚木市幼児餓死白骨化事件で理玖くんを死なせた、父親の斉藤 幸裕。 彼は5歳の子をアパートに放置し、死に至らしめてなおも7年間放置した。 妻に逃げられ、料金の未払いのためにガス・水道・電気は止められ、まるでゴミ屋敷のような環境の中で父子は生活を送っていたのである。 食事は1日1回コンビニで買ったものだけ。 オムツの交換も1日1回。 そんなある日、父親の仕事中に理玖くんが外へ出てしまったことから、和室への監禁が始まる。 一般的には虐待と定義されるような行動を、本人は虐待という意識を持たずに行ってしまっているからタチが悪い。 だから小学生がペットを死なせてしまう時のような状況で、自分の子供も死なせてしまうのだ。 さらに「計画性の欠如」という気質も、特徴的なものとしてあげられるだろう。 とにかく全ての行為が、その時々の思いつきに起因する。 足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件を引き起こした皆川夫妻も、行き当たりばったりな行為のなれの果てだ。 生活保護が増えるから子供を次々につくる。 子供が言うことを聞かないからウサギ用のケージに入れたり、犬用の首輪でつないで殴る。 あげくに次男が死んでしまったからと言って、バレないように棄てる。 著者は彼らの気質の中に、自らの力ではどうにもならない要因があったのではないかと考え、それぞれの生育環境へも迫っていく。 すると親だったり、妻だったり、対象こそ異なれど、彼らの最も近い位置に自己本位の権化のような人物が存在していたことが明らかになる。 彼らは自らの人生を自分のコントロール下に置くことすら、出来ていなかったのだ。 もちろん同じような境遇の人たちが、みな最悪の事態に陥るわけでもない。 それでも加害者を単なる非道な「鬼畜」として描くのではなく、加害者の被害者的状況にも気持ちを寄り添わせ、背景にある大きな要因を追いかけなければ、見えてこないものがあるのだ。 昨今、社会的な問題として語られることの多い児童虐待だが、センセーショナルに注目を集めるからこそ見落とされがちな罠が、たしかに存在する。 報道するマスコミだけでなく、その事件にかかわる多くの関係者が、典型的な事件として処理を進める中にこそ盲点は潜んでいるのだ。 刑罰だけで同じような事件の再発が防げるほど、簡単なことではないだろう。 著者の筆致から、再び同じような悲劇を繰り返したくないという強い決意が伝わってくることだけが、唯一の救いだ。

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ノンフィクション作家・石井光太が迫る、虐待家庭の闇『「鬼畜」の家~わが子を殺す親たち~』|日刊サイゾー

足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件

東京都足立区入谷で、当時3歳の皆川玲空斗(りくと)君をうさぎ用のかごで監禁し、2013年3月口にタオルをまくなどして窒息死させ遺体を捨てたとして、父親の皆川忍容疑者(31)と妻の朋美容疑者(28)が監禁致死と死体遺棄容疑で逮捕された事件。 しかしガジェット通信のインタビューによれば、母親である皆川朋美容疑者は夫が玲空斗君の口にタオルを巻き窒息死させた夜、早く寝てしまっており、致死には関係していないと述べています。 ガジェット通信では、母親である朋美容疑者の現在の心境を知るべく、岩崎弁護士に質問を託しインタビューを実施しました。 朋美容疑者「(監禁は)忍さんがやり始めました」 ーーまずは、玲空斗君を亡くしてしまったということに対する率直なお気持ちをお聞かせ下さい。 皆川朋美容疑者(以下・朋美):とてもかわいそうに思っています。 今も夫である忍さんは好きです。 ただ、今は、素直に好きとはいえない。 正直に今回の事件のことを話して、罪を償ってくれれば、忍さんとはまた一緒に暮らしたいという気持ちもないわけではありません。 当時は、忍さんが好きという気持ちが強かったので、死体遺棄までしたが、今思うと、玲空斗にはとてもかわいそうなことをしてしまったし、申し訳ない気持ちでいっぱいです。 ーー玲空斗君の監禁致死と死体遺棄を疑われて逮捕されました。 まずウサギ小屋に入れようというきっかけは、忍容疑者と朋美容疑者のどちらから言い出したことなのでしょうか? 朋美:忍さんがやり始めました。 玲空斗は、外食に連れて行ってお腹いっぱいになった後でも、なんでも食べてしまっていました。 砂糖やゴマ油、生のシシャモを食べることもありました。 玲空斗は、知的成長が遅かったので、単語しか話せず、お腹が空いたとも言えません。 そのため、勝手に食べられないように、ケージに入れるようになりました。 報道にあるように、2~3日に1回しかご飯を与えなかったのは、事件から1か月前の2月くらいからのことです。 ーーウサギ小屋に入れるということが、「しつけ」の範疇を超えて、「監禁」「虐待」という意識はなかったのでしょうか? 朋美:そのときは思いませんでした。 玲空斗が亡くなったことで、虐待にあたるものだと感じるようになりました。 朋美容疑者「タオルを巻いているところは目撃も加担もしていません」 ーー忍容疑者が「口でタオルを巻いた」ところを目撃していますか? その行為に加担をしていますか? 朋美:ケージに入っていたことは見ています。 その後、私は寝ました。 朝、忍さんに起こされると、玲空斗が口にタオルを巻かれている姿を見ました。 息をしておらず、亡くなっているようでした。 そのため、玲空斗の口にタオルを巻いたことについては、目撃も、加担もしていません。 ーー忍容疑者は次女に暴行した容疑で実刑判決を受けています。 その時から「家族が危ない」という意識はなかったのでしょうか? 朋美:玲空斗が亡くなった時から、そういう意識が出ました。 それまではありませんでした。 暴行や監禁を行ったのは、次男、次女だけで、他の子には特に暴力をふるうこともしていません。 次男と次女が、知的に成長が遅れていて、それで忍さんが怒ることが多かったです。 次女への暴行については、私はいつも止めていましたが、かばいきれませんでした。 ーー他のお子さんたちと結果として離れ離れとなっている現状について、率直なお気持ちをお聞かせください。 朋美:とてもかわいそうに思いますし、私も大きな責任を感じています。 私があの日、寝ていなければ、今とは違う現実があるのではないかと考え、あの日に寝てしまったことを後悔しています。 智美容疑者「生活の基盤を作って、子どもたちを返してもらえるよう頑張りたい」 ーー朋美容疑者自身、生活保護を不正受給したことで執行猶予つきの判決を受けています。 定職を探すなど、働く意志はなかったのでしょうか。 朋美:働く意志は今でもあります。 コンビニをはじめ、アルバイトの面接に行くなど、就職活動はしましたが、どこにも採用されませんでした。 ーー今後の裁判で主張したいこと。 罪を償った後にどのような人生を送っていきたいと考えているのか、お聞かせください。 朋美:仕事をするなどして、生活の基盤をまずは作っていきたいです。 そして、現在児童福祉施設に入っていて、会うこともできない子ども達を1人でも多く返してもらえるように頑張っていきたいと思っています。 起こるべくして起こった事件 朋美容疑者の右手人差し指には、客としてホストクラブで出会った夫の名前である「忍」の文字のタトゥーが入っています。 数年前、子どもが産まれた後入れたタトゥーで、子どもの名前ではなく、夫の名前であるあたりにいまだ夫に「入れ込んでいる」朋美容疑者の気持ちが伺えます。 相当夫に惚れていたということなのでしょう。 また、月の半分を家族で外食に行っていたという皆川夫妻。 生活保護費の多くがそこで使われてしまっていたようです。 知的成長が遅れていたと朋美容疑者が述べている次女と次男の玲空斗君は、事件が起こる1~2ヶ月前から外食時には留守番をさせるようになり、玲空斗君はうさぎのケージに入れ、次女には犬の胴輪(ハーネス)を身に着けさせて身動きを取れないようにしていたといいます。 食事を2~3日に1回しか与えなかったという報道もあります。 まさに人としての尊厳を奪うような虐待が行われていたと言わざるを得ません。 外食費と同じく、家計を圧迫していたのがペットの存在です。 玲空斗くんが入れられていたケージでは元々うさぎが複数羽を飼っていたのですが、いずれも短命だったといいます。 このような皆川家の生活を知ると、家族や生き物への愛情の向け方や金銭感覚が常軌を逸しており、「起こるべくして起こった事件」と言わざるを得ません。 しかし一方で「監禁」と「監禁致死」では罪状がまったく違うのも事実。 マスメディアでは先行して母親である朋美容疑者も「致死」に加担したかのような報道がなされていますが、本人はガジェット通信のインタビューに対し加担していないと述べています。 果たして事実はどうなのか。 公正な裁判が望まれます。 情報源に関する秘密は守ります。 また、弁護士など事実を知りうる方からの情報提供もお待ちしております。

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足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件

いしい・こうた 1977年、東京生まれ。 国内外を舞台にしたノンフィクションを中心に、児童書、小説など、幅広く執筆活動を行う。 主な著書に『物乞う仏陀』『神の捨てた裸体』『絶対貧困』などのほか、児童書に『ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか。 』『幸せとまずしさの教室』、小説に『蛍の森』、責任編集『ノンフィクション新世紀』など。 鬼畜の所業。 5歳のわが子をアパートに放置し、7年後に発見された『厚木市幼児餓死白骨化事件』や、嬰児の遺体を天井裏や押し入れに隠した『下田市嬰児連続殺害事件』、そしてまだ記憶に新しい『足立区うさぎ用ケージ監禁虐待死事件』など、相次ぐ子どもの虐待死のニュースを聞くたびに、こう思った人は決して少なくないことでしょう。 ですが『「鬼畜」の家〜わが子を殺す親たち』(新潮社)の著者・石井光太さんはこんなふうに語ります。 「あの親たちは鬼畜ではないですね。 厚木市幼児餓死事件の理玖くんはエロ本をちぎって紙吹雪にして遊んでくれる父親のSが帰ってくるのを心待ちにしていましたし、うさぎ用ケージで殺された玲空斗くんの写真を見ると、実に楽しそうにしている。 殺された子は親を愛していたし、虐待した親もまた、子どもを愛していました。 2年以上(親として)やることはやったのに、なぜ、殺人と言われるのか!」と言い放つS容疑者の言葉に、呆然とします。 「電気もガスも水道も止められた真っ暗な中、部屋にたまった2トンものゴミに囲まれながら、S容疑者は息子と一緒に2年間も過ごしているんです。 彼はその状態を本心から虐待とは思っていない。 そんな常識からのズレは、かたちを変え、人物を変えて、本書の各事件に登場します。 ここにこそ、続発する児童虐待死事件の根底があるのだと、本書は強く言うのです。 では、こうした歪んだかたちでしかわが子を愛せない親たちは、いったいどうして生まれてしまったのでしょうか?

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