炭 治郎 ヤンデレ。 鬼滅の刃 ヤンデレなんて治してやるわ!《竃門炭治郎》

淡い恋心

炭 治郎 ヤンデレ

僕の大好きな炭治郎。 いつも人に囲まれてる。 今だって。 あぁむしゃくしゃする。 みんな炭治郎が好きなんだね。 僕だって炭治郎が好きだよ。 炭治郎は? 僕のことなんてどうでもいいでしょ。 炭治郎の愛情を一身に受けてる、妹の禰豆子。 鬼のくせに。 離れたところで興味なさそうにしてる、水柱。 兄弟子ってだけで炭治郎から特に慕われてる。 本当は嬉しいくせに。 妹を殺そうとしたくせに。 僕だけの炭治郎がほしい。 僕と炭治郎の強い繋がりが欲しい。 そうだ、相談を持ちかけて、二人きりになろう。 そして優しさに付け込んで僕のものにしよう。 [newpage] 「炭治郎」 「時透くん!」 炭治郎の笑顔。 まぶしい。 「炭治郎に、相談したいことがあって」 「なんでも聞くよ、どうしたの?」 優しい炭治郎。 「・・・誰にも聞かれたくない。 」 「・・・・」 伏し目がちに下を見てうつむいてみた。 「わかったよ、夜、禰豆子を預けて、時透くんの屋敷へ行くよ。 」 大好き炭治郎。 [newpage] 夜 縁側で僕は月を見上げながら炭治郎を待ってた。 真っ暗な夜空に浮かぶ月は、僕の炭治郎への想いのように、くっきりとした輪郭をしていた。 トントン 戸を叩く音が静かに響く。 「いらっしゃい炭治郎」 「こんばんは!時透くん」 僕の部屋に招き入れて、温かいお茶を出す。 「相談って、なに?」 「・・・・・・」 相談なんてない。 炭治郎を独占したかっただけ。 「・・・炭治郎と二人きりで話すの久しぶりで、ちょっと緊張してるのかも。 緊張がほぐれるまで、少し雑談したいな、だめかな」 「えっ、柱の時透くんでも緊張することあるんだね!?いいよ、なにを話そうか」 僕の緊張をほぐそうと、明るく笑う炭治郎。 [newpage] 「で、善逸がまた泣きだして大変だったんだ」 「ふふ、君たち本当に仲が良いね。 」 「大切な人を何人も失ったけど、鬼殺隊に入って、仲間に出会えて、俺は幸せだよ。 」 「そうだね・・・・。 」 僕も、兄を失ったけど、炭治郎に出会えたから 「時透くんも大切な人だよ、だからなんでも話してほしい。 」 「炭治郎・・・」 僕ね・・・僕も炭治郎のことが 「煉獄さんのときのように、後悔したくないんだ。 もっと話をしたかった。 煉獄さんを知りたかった。 みんないつ最後になるか分からない」 「・・・・・・うん」 「宇髄さん、生きててくれて本当によかった・・」 「・・・・・・」 「伊之助も善逸も、蝶屋敷の人達も、みんな大好きだから」 「・・・・・・」 「家族を守れなかった分、みんなを守りたい、大切にしたいんだ、俺は長男だから!!」 「・・・・・・」 「あっ、ごめん一人で喋ってしまって!」 「・・・・僕もね、炭治郎、 両親を失って、兄を失って、一人になったけど、 鬼殺隊のみんなが、 いまは家族だよ。 」 虚無だった。 スラスラと心にもない言葉が口から出てきてびっくりした。 「時透くん・・そっかあ!!」 嬉しそうに、恥ずかしそうに、笑う炭治郎。 炭治郎のこの顔が、好きなんだよ。 でも、僕だけじゃないんでしょう、みんなにもこの笑顔を見せてるんでしょう。 本当は心になんて思ってないこと、言わないと、炭治郎は笑ってくれないんでしょう。 炭治郎しかいらないなんて言ったら、僕を嫌いになるでしょう。 ずるいよ炭治郎。 「・・・とっ、き、、時透、く、ん!!」 気づいたら、炭治郎の首を絞めてた。 [newpage] [pixivimage:76517058] 「・・・・・」 僕の拘束から逃れた炭治郎が、膝をついて、首を押さえながら、うつむいてゼーゼー息をしてる。 どれぐらいの力で、どれくらいの時間絞めてたんだろう。 畳には溢れたお茶と湯呑み。 かなり抵抗したみたい。 僕、どうして炭治郎の首を。 「炭・・・・」 パシッ 伸ばした僕の手を、炭治郎が反射的に振り払う。 「時透くっ・・、ごめん・・!」 「・・・・・・」 振り払われた左手がじんじんする。 うっすら赤くなっていく手、そのまま視線を上げて、炭治郎に視点を合わせる。 気づいてた、じわじわ僕を侵蝕する憎しみと怒りの気持ちが、そうさせた。 「・・時透くんどうしたの?・・驚かそうとしたの?・・あはは・・びっくりしたよ・・!」 動揺を隠して、気丈に振る舞う炭治郎。 まさか僕が、首を絞めたなんて信じられないんだよね。 仲間が、家族が、首なんて絞めないもんね、 信じたくないんだよね、炭治郎はそうだもんね。 鬼になった妹でさえ、信じるんだから。 「痛い」 「・・・え?」 [newpage] [pixivimage:76517136] 「痛い、痛いよ、炭治郎・・」 「・・・・・」 体を小さくして、身を守るように、怯えてみせる。 「手を叩くなんて、酷いよ、痛いよ・・」 「・・・ごめん、時透くん」 「炭治郎は、僕のこと・・・嫌いなの・・?」 「違うんだ、いきなり首を・・絞め「炭治郎は、僕の手を、叩いたんだ!」 もう許さない。 「家族なら、仲間なら、こんなことしない」 「時透くん・・・」 「僕は、父さんも母さんも失って、兄も失って、仲間も、新しい家族も離れていくの・・・?」 「時透くん、ごめんね・・・」 「柱だから、僕は柱だから・・・強くいないとって・・でも一人になると不安で・・不安でたまらなくなって・・」 静かに手を伸ばして、片膝立ち状態の炭治郎の隊服をぎゅっと掴む。 一瞬ビクッとした。 「鬼になった妹を、信じ続けた、炭治郎に・・・ 妹を殺されそうになったのに・・・兄弟子を慕う炭治郎に・・・、炭治郎にしか・・・頼れなくて。 僕が・・なにかしたら、簡単にみんな・・・いなくなっちゃうんじゃないかって・・・。 」 炭治郎の胸に顔をうずめる。 「どきどき自分がわからなくなって・・・」 そっと背中に炭治郎の手が触れる。 「大丈夫だよ、時透くん、俺がいるよ」 「炭治郎・・・」 顔をあげると、炭治郎と僕の、目と目が合う。 静かに、僕から口付けた。 [newpage] [pixivimage:76516872] 炭治郎は抵抗もしなかった。 あんなこと言ったから、僕を否定しちゃいけないって必死なんでしょう。 寛大な心で僕を受け入れたような、真剣な顔して僕を見つめてくるけど、本当は怖いんでしょう。 僕が恐ろしいんでしょう。 炭治郎、その顔、ぼくだけのものだよね。 数日後 いつもの光景があった。 仲間に囲まれた、炭治郎。 楽しそう。 いいよ、その炭治郎、みんなにあげる。 左手に静かに触れば、ほらその顔 炭治郎のその顔、ぼくだけのもの。 [newpage] [pixivimage:76565807] 終わり.

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#腐滅の刃 #ヤンデレ 炭治郎の善逸捕獲大作戦

炭 治郎 ヤンデレ

「おはよう善逸!」 明るい挨拶が聞こえて俺は見ていた身なりのチェック表から顔を上げた。 あァやっぱり……今日も可愛いなァ 「おはよ、炭治郎」 普通に挨拶を返して、俺はわざとらしく驚いたような表情をした。 「あれ?ちょっと疲れてる?さては、夜更かしでもしたんだろ!」 炭治郎は少し驚いて目を瞬かせて、それから照れたように頭をかいた。 「あはは、善逸には隠し事できないなぁ。 実は昨日、新作のパンの試作を考えてて……」 「気をつけろよー」 隠し事できない?そんなの当たり前だろう。 見てたんだから、分かるよ。 ずっと見てるからなんでも知ってるよ。 新作のパン、思いつかなくて悩んでたもんな。 「イヤリング、見逃してやるから早く教室行った方がいいぞー……冨おえっ、先生が走って来てるから!」 俺は遠くから走って来る恐ろしい冨岡を確認して、炭治郎の背を押して教室に送った。 その背中の程よい筋肉の質感を思い出して俺は舌舐めずりをして炭治郎の背を眺めた。 俺が守ってやるからな 「はぁ……」 「あれ、炭治郎がため息だなんて珍しいねぇ、どうかしたの?」 俺は机に突っ伏してため息をついた炭治郎に優しく声をかけた。 炭治郎は言おうかどうか悩んでいるらしかったが、俺がなぁに?とまた優しく問いかけると眉を下げて切り出した。 「実はな……」 炭治郎はキョドキョドと視線を泳がせて教室に他に人が居ないか確認して、小さな声で答えた。 「ストーカーされてるんだ」 「え!?ちょっと、大丈夫なのそれ!?」 炭治郎は少し目を潤ませて不安げな音を立てた。 「最初は視線を感じたりするだけだったんだけど、だんだん過激になってて……おかしな手紙が届いたりしてるんだ」 「え、こわぁ!手紙はどんなことが書いてあんの!?」 俺は机に乗り出して問うた。 「……ずっと見てるよ、とか愛してるよ、とか」 炭治郎が今にも泣き出しそうな顔をするので俺は顔の緩みを抑えるのに必死だった。 「それってヤバいんじゃない?警察に相談してみたら?」 炭治郎はでも……と困ったように縮こまった。 炭治郎は優しいなァ そんなストーカーの心配までしなくても良いンじゃない? 善逸は内心ほくそ笑んで、さも心配だという顔をした。 「じゃあ、今日から俺と帰る?そしたら、少しは安心でしょ!……まぁ俺弱いから何かあっても助けられないけどな!」 自虐的に叫べば、炭治郎はそんな姿に笑って頷いた。 「じゃあ、さっそく一緒に帰ろうか!」 「そうだな!……ありがとう善逸」 夕陽に照らされて炭治郎がきらりと光って、俺は眩しくなって目を細めた。 やっぱり世界で一番綺麗だ 「いいんだって!俺たち"友達"だろ?」 俺がそう言うと炭治郎は笑ってそうだな、と言う。 それから、もうすぐに迫っている中間考査のことや、今日伊之助がこんなことをしていた、とかくだらないことで俺たちは盛り上がっていた。 気がつくと、いつの間にか炭治郎の家の前で俺は名残惜しいけれど、家でまた会えると自分を元気づけて手を振った。 「じゃあな!気をつけろよ!」 「あぁ!ありがとうな善逸!」 炭治郎が無事に家に入ったのを見届けて俺は自分のカバンを漁った。 取り出したのは一枚の便箋。 そしてそれをポストに入れると、自分も帰路についた。 自宅に戻り、さっそくパソコンを立ち上げる。 専用の機器を差し込んだり、パスワードを入力すると大きな画面に炭治郎の部屋が写し出された。 興奮のあまり汗がじっとりと滲み、思わず口角が上がる。 画面の中でせっせと勉強に励む炭治郎を指でなぞり、俺はポソポソと呟く。 「今日も可愛かったよ、誰にも渡さないからね、俺が守ってあげるよ」 儀式と化したこの言葉たちは炭治郎には届かないけれど、いつか目の前で言ってあげれたらいいなと思う。 テスト勉強が終わった炭治郎は弟妹たちと遊んだり、合間に家事を手伝ったりしていて、俺は微笑ましくなってニヤける。 夜の12時、炭治郎は風呂などを済ませると暖かな布団にもぐり、目を瞑った。 「おやすみ炭治郎、いい夢を」 画面の中で穏やかな顔で眠る炭治郎に口づけると、俺はパソコンの電源を落として真っ暗になった画面をぼうっと見つめた。 おはよう、からおやすみまで俺がずっと見守ってあげるからね ねぇ、炭治郎 「おはよー、昨日は大丈夫だった?」 炭治郎は首を横に振って不安そうな音を響かせた。 「それが、また手紙が入ってたんだ……確かに家に帰った時にはなかったんだけど」 炭治郎がカバンから取り出したのは、俺が昨日ポストに入れた手紙で俺は笑ってしまいそうになるのをグッと堪えながら眉を下げた。 言いたい、言いたい、でも言ったら駄目だ 炭治郎は鼻がいいから、あまり感情が昂ると気が付かれてしまうかもしれない 俺は深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、手紙を目だけで読んだ。 「……な、なにこれぇ!こわっ!お前、本当に警察行かなくても大丈夫なのぉ!?」 「あはは、たぶん大丈夫だよ」 まったく大丈夫という音ではないが無理に笑顔を作る炭治郎を1年生の教室まで送って俺は微笑んだ。 「可哀想な炭治郎」 可哀想で可愛そうで、俺が守ってあげないとな あの泣きたくなるような優しくて暖かい音は俺だけのものなんだから 「あ、そうだ今日さ、渡したい物があるから放課後、少しだけ時間いいかな?」 上目遣いで問えば、炭治郎は構わないと簡単に頷いた。 炭治郎がこの顔に弱いこと知ってて利用しちゃってごめんね 「渡したい物って何なんだ?」 「ふふ、なぁいしょ!とにかく、楽しみにしててよ!」 炭治郎の無垢な顔に俺は微笑んだ。 絶対に気に入ってくれると思うよ キーンコーンカーンコーン 下校を促すチャイムが鳴り、部活生もまだらに帰って行く中、俺と炭治郎はまだ教室で話し込んでいた。 「……あ、そうだ、渡したい物って何だったんだ?」 ふと思い出したように炭治郎が聞いた。 俺は待ってましたと言わんばかりに微笑む。 炭治郎の純粋な笑顔にこれからの反応を想像すると、俺は心臓が大きく鳴った。 俺はゆっくりとカバンから一枚の手紙を取り出して炭治郎に差し出した。 「これ、炭治郎に渡そうと思ってさァ」 自分の声が震えて興奮していることが分かった。 炭治郎は不思議そうに手紙を受け取ると、中身を確認する。 みるみるうちに顔が青ざめていく炭治郎を俺は笑顔のまま見つめた。 炭治郎は手紙と俺を交互に見て力なく微笑んだ。 その顔は引きつっていて、俺は心臓がまろびでそうな程嬉しかった。 「こ、これ、俺に届いてたやつじゃ……」 語尾が震えて、炭治郎が緊張していることが伝わってくる。 「そうだよ、俺がずっと入れてたの……炭治郎ったら、いつまで経っても気づいてくれないから、もう居ても立っても居られなくなって、俺から言っちゃった!」 炭治郎のクリクリと大きな目がこれでもかと見開かれる。 「い、いままでずっと……」 唇がわなわなと震えて炭治郎は息をはくはくと吐いた。 「気に入ってくれた?俺ラブレターなんて書くの初めてだったからさ、上手く書けてるか不安で……」 気に入ってくれた? 炭治郎の頬にそっと手を当てれば、炭治郎はガタリと大きな音を立てて椅子から滑り落ちた。 「あっ、大丈夫?」 手を差し出すと、炭治郎はひっと情けない悲鳴を上げた。 「こ、こないで」 炭治郎はもつれる足で教室から走り去った。 「アハハ、炭治郎鬼ごっこがしたいのぉ?俺、鬼ごっこも隠れんぼも得意なんだァ」 ゆっくりと身を起こし、ヒタヒタと廊下に出る。 廊下には誰も居らず、静寂だけがキーンと辺りを包み込んでいた。 だけど、俺の耳にはハッキリ聞こえる。 ドクドクと脈打つ心臓の音も、恐怖で引きつった浅い呼吸音も。 俺の耳には全部聞こえてる。 そしてその音は校舎の最上階から大きく響く。 「フフフ、大丈夫だよ、炭治郎、俺が守ってあげるからねぇ、安心して出ておいで」 上がる口角が抑えられずに思わず笑みがこぼれる。 そんな俺の声が聞こえたのか、恐怖の音がまた濃度を濃くして聞こえ始めた。 「そんなに怖がらなくてもいいんだよ」 ゆっくりと階段を上がっていけば、静かな校舎に足音だけが響き渡る。 そして俺はある教室の前にたどり着いた。 ガラリとドアを開けて俺は一直線に歩き出す。 ガチャ 「あ、ァ、あッ、いや」 「アハハ、つかまえた」 赫灼の瞳からポロリと涙がこぼれ落ちた。 善逸は優しい奴だ。 いつもピアスを見逃してくれるし、よく相談にものってくれる。 だけど、善逸からは時々嗅いだことの無い匂いが漂ってくる時がある。 「おはよう善逸」 「あぁ、おはよう炭治郎」 まただ。 まるで熟れ過ぎて腐る前のような果実のようにドロドロとして甘ったるい匂い。 決して嫌な匂いではないけれど、何故か心がざわついて落ち着いていられなくなる。 でも、そんな匂いはいつも一瞬だけで、後はいつものような優しくて暖かな匂いがする。 俺は善逸のその匂いがいっとう好きだった。 「実は……ストーカー被害にあってるんだ」 俺がそんな相談をした日があった。 実際、俺の家のポストには俺宛に毎日おかしな手紙が入っていて、毎日似たような内容が記されていた。 愛してる、見守ってる、ずっと一緒にいよう、もう離さない 初めはそんな手紙のことはまったく気にしなかった俺も、さすがに毎日そんな手紙を見れば心も疲れていく。 加えて、手紙だけではなく帰り道で後ろから視線を感じたり、誰からか分からないメールとかも届くようになった。 だが、善逸と帰るようになってからはそれはピタリと止んで、ただずっと手紙だけは送られ続けていた。 「渡したい物があるんだ」 善逸にそう言われときに、どうしてその不穏な匂いに気が付かなかったのか、今となっては後悔だけが募る。 放課後、俺と善逸は話が盛り上がってしまい、少し帰るのが遅くなってしまいそうだった。 空には今まさに太陽が沈もうとしており、教室は薄暗い。 「あ、そうだ、渡したい物って何だったんだ?」 善逸の匂いに緊張の匂いが混じり、フワリと香った。 はい、と渡された物は見覚えのある便箋で俺は少し困惑したけれど、促されて中を見た。 炭治郎へ、愛してるよ、ずっと俺と一緒にいてくれる?優しい炭治郎ならきっと傍にいてくれるよね、炭治郎のことは俺が守ってあげるから安心してね 自分の血の気がすうっと引いていくのがわかった。 脳内に最悪の展開が流れて、俺は慌てて首を振ってその考えを捨てようとする。 そして生唾をゴクリと飲み込んで喉に張り付く声をなんとか出して言葉にした。 「こ、れ……俺の家にいつも、届いてたやつ、じゃ」 「……そうだよ、炭治郎いつまで経っても気が付かないからさ」 思わず俺は手紙と善逸と顔を交互に見つめて息を吐いた。 「……じゃ、あ……今までずっと、善逸が」 善逸は笑顔で頷いて俺のことをうっとりと見た。 耳がキーンと遠くなるような感覚がして、俺は目の前が真っ暗になった。 善逸が何かを言っているが上手く聞き取れない。 突然、目の前に善逸の手が伸びてきて俺はそれを心から恐怖した。 「ひっ、こ、こないで」 気がつくと俺は教室を飛び出して廊下に出ていた。 恐怖のためか息がいつもよりも早く切れて、心臓がバクバクと大きく音を立てる。 とりあえず逃げなきゃ 俺は先ほどの教室から1番遠い三年生の教室へと転がり込むようにして入った。 後ろからはゆっくりと善逸が歩いてく音が聞こえて、俺は慌ててロッカーの中へ入り身を隠した。 「出ておいで、炭治郎」 いつもなら名前を呼ばれるとあんなに嬉しかったはずなのに、今はただ恐怖でしかない。 酷く不気味に聞こえた声に俺は思わず口から溢れ出そうになった悲鳴を飲み込んで息を殺した。 かつ、かつ、と善逸の足音が静まった廊下に響いて、やがて俺のいる教室の前で止まった。 俺さぁ耳が人より良いんだぁ いつだったかそう言って屈託なく笑った善逸の笑顔を思い出す。 あぁ、そうだった、善逸は耳がいいから俺がどこに隠れてたって意味が無いんだ、善逸からは絶対に逃げられない ガチャ 目の前の扉がゆっくりと開いて、人工的な蛍光灯の明かりが暗いロッカーの中を照らした。 「あ、いやっ」 思わずこぼれ出た拒絶の言葉なんて聞こえてないというふうに善逸は微笑んだ。 優しいハチミツ色の目がドロドロと鈍く光り、三日月形の弧を描いて怯えた俺の顔を写した。 「アハハ、つかまえた」 俺の目から涙が溢れ出す。 頬に冷たい手が添えられて俺は意識を手放した。

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炭 治郎 ヤンデレ

その後、炭治郎はカナエから説明を受けた。 鬼は、ほとんど不死身であること。 生きている限り、どれだけ身体が欠損しようと再生する。 普通の人間よりも、身体能力が上がっていること。 それに対抗するため、鬼殺隊は独自の呼吸というものを使って、身体能力を上げて対抗している。 「えっ、呼吸って……疲れない呼吸のことですか?」 炭治郎は小さな頃、父さんに聞いた呼吸をずっとやっている。 そう、ずっと。 寝ているときも、無意識で出来るようになっていた。 「そうね。 炭治郎くんが鬼だったから気づかなかったけど、それは確かに私たちが使っている呼吸。 それも難易度の高い、全集中の呼吸・常中という技。 それをすれば、他の人とは格段に身体能力が上がるの」 「ああ、だから俺は人よりも運動が出来たんですね」 カナエはそれを聞いて苦笑いをした。 常中をやっていれば、「人よりも少し優れている」程度では必ず収まりきらない。 普通の人の何倍、何十倍もの身体能力を得ているはず。 それに加え、今では鬼となっている炭治郎の身体。 鬼殺隊の中でも、身体能力で炭治郎に勝てる人はいないかもしれない。 「……炭治郎」 「はい? なんですか、冨岡さん」 隣で話を聞いていた義勇が、いきなり割って入ってきた。 カナエは義勇が自分から喋り出したことに驚いたが、その後の言葉にも同じように驚く。 「おにごっこをしよう」 「……はい?」 炭治郎も、カナエと同じように目をまん丸にしていた。 その後、説明もほとんどなしで日が差している外に出て、数メートル離れたところで炭治郎と義勇が対峙する。 それを周りで炭治郎の家族、それにカナエが見守っていた。 「お兄ちゃん、頑張れー! 冨岡お兄ちゃんに負けるな!」 「兄ちゃーん、次は俺ともやろうぜー!」 花子と茂が炭治郎にそう声をかけて、炭治郎は「わかった」と言うように笑顔で手を振る。 「まったく、冨岡くんったら……すいません、葵枝さん。 同僚が炭治郎くんとおにごっこしたいって」 「いえいえ、大丈夫ですよ。 炭治郎も冨岡さんと遊ぶのは、楽しいと思いますから」 炭治郎の母親の葵枝や、兄弟達は楽しそうに二人のおにごっこを見ようとしている。 しかしカナエ、それに当人の炭治郎と義勇は真剣である。 カナエの邸宅は「蝶屋敷」と言って、鬼殺隊の隊士の治療所として開放されている。 そこで度々行われる「機能回復訓練」という、負傷して固まった隊士の身体をほぐす訓練。 その訓練の中に、おにごっこがあった。 義勇も何度もやったことがある。 「じゃあ行くよ。 お兄ちゃんが逃げる方で、冨岡さんが鬼。 よーい……」 禰豆子が声を上げ、始まりの合図をする。 「えっ!? あれ!? 兄ちゃん達、どこ行った!?」 「な、なんか雪がすごい舞ってるけど……!」 炭治郎の家族の中で、二人の姿を捉えている人は誰もいない。 ただ地面にある雪が、爆発でもしたかのように舞っていることしかわからない。 葵枝と禰豆子、それに竹雄も声を出せずに二人がどこに行ったか辺りを見渡している。 唯一、花柱であるかなえだけが、二人の姿を追えていた。 (どっちも全力……それで、冨岡くんが勝てないなんて……) 一対一でやるおにごっこは、普通なら追う方が有利である。 手を伸ばせば当たる距離にさえ持ち込めれば、勝てるはずなのだから。 しかし柱である義勇でさえも、炭治郎にその距離まで持ち込めていない。 その距離になったとしても、圧倒的な反応速度で躱されている。 数分やってから、義勇が止まる。 それに伴って炭治郎も止まるので、ようやく二人の姿がしっかりと見えた。 「あっ、兄ちゃん達いた!」 「どこまで行ってたんだろう? いつ帰ってきたんだろう?」 家族全員は二人が遠くまで行ってしまったのかと思っていたが、二人はずっとこの近辺でおにごっこをしていた。 ただ速すぎて、見えなかっただけだ。 「……胡蝶、二対一だ」 「えっ? 私も入るの? しかも鬼側で?」 「ああ、いいだろう、炭治郎」 「はい! すごく楽しいですね!」 義勇は一人では捕まらないと確信したのか、カナエも呼ぶ。 少し戸惑いながらも、カナエは楽しそうに入ってくる。 「久しぶりにおにごっこするわねー。 炭治郎くん、全力で行くね」 「はい! お願いします!」 そして、また炭治郎の家族には見えないおにごっこが始まった。 「またどっか行っちゃったね……」 「うん……近くですごい、風を切る音みたいのが聞こえるけど、それだけ」 「花子、茂。 暇なら薪になる木の枝でも拾ってきてくれ」 「はーい」 竹雄が二人にそう言って、二人も逆らうことなく自分の仕事をする。 その際に二人は、炭治郎と義勇とカナエがおにごっこをしている範囲の中に入ってしまうが、全くそれに気づかない。 二人がおにごっこの範囲の中に入ってくるが、炭治郎達とぶつかることはない。 そんな失敗をするような三人ではなかった。 しかしやはりというべきか、カナエが鬼側に加わっても炭治郎には勝てなかった。 炭治郎の長い髪の毛一本すら触れない。 鬼殺隊の柱である二人が、本気を出しても。 完璧に連携が出来ているわけではないが、それでも一人よりも二人の方が強いはずなのに。 そして十分後、カナエと義勇が諦め、炭治郎の勝利で終わった。 三人とも全力でやったが、十分程度本気で動いたところで汗一つかいていない。 柱である二人はもちろん、炭治郎も息を荒げてすらいない。 「すごい楽しかったです! 初めて、本気でおにごっこしました!」 「ふふっ、よかったわ。 だけどやっぱり、炭治郎くんって強いのね」 炭治郎は謙遜するが、柱二人が本気でやっても追いつけないのは驚きだ。 鬼としては、下弦の月では収まらず、上弦の月の強さと同等か、それ以上だろう。 (本当に、炭治郎くんが理性を保っていて、人間の心が残っていてよかったわ……) 「炭治郎くん、鬼の説明を全部説明してなかったわ」 どこかの誰かが、いきなりおにごっこをしようと言い始めたから。 その誰かは、全く表情が読めない顔でたたずんでいる。 「あっ、はい」 「鬼は不死身なんだけど、弱点があるの。 それが、太陽の光。 浴びると鬼は例外なく、燃え尽きてしまうわ」 「えっ? だけど、俺は……?」 義勇やカナエに鬼と言われている自分は、現在日の光に当たってもなんともない。 「そう、今まではそうだった。 「そして原初の鬼である、鬼舞辻無惨の目的は……太陽を克服すること。 つまりあなたのことを知られれば、おそらくあなたは鬼舞辻無惨に狙われることになってしまうわ」 カナエは炭治郎の境遇に、心を痛める。 呼吸を使えるという以外は、普通の子だ。 家族思いで、すごく優しい男の子。 それなのに鬼の血を浴びたことによって、鬼となってしまい。 理性を保っているにもかかわらず、このままでは鬼殺隊に狙われてしまう。 そして太陽を克服する存在であるために、鬼舞辻無惨にも狙われることになるだろう。 人間からも、鬼からも仲間がいない。 そう考えると、カナエは胸が張り裂けそうだ。 「あっ、兄ちゃん! おにごっこから帰ってきたんだ!」 そのとき、茂と花子が木の枝を拾って帰ってきた。 炭治郎は二人に近づき、多く抱えてきた木の枝を持ってあげる。 「お兄ちゃん、ありがとう」 「ああ。 二人も、拾ってきてくれてありがとう」 「兄ちゃん、あとで俺ともおにごっこしよう!」 「ああ、いいぞ」 楽しそうに三人は、笑いながら家まで歩いていく。 家の中から、家事をしていた禰豆子と母親の葵枝が出てくる。 そこに木を切っていた竹雄も来た。 カナエはその幸せな家族を見て、少し勘違いしていたことに気づいた。 炭治郎が鬼なのは、間違いない。 そして太陽の光を克服したので、これから鬼舞辻無惨から追われることになる、ということも。 しかし仲間がいないなんてことは、なかった。 むしろ炭治郎には仲間なんかよりも大事な、家族がいる。 絶対に切れないであろう、家族の絆があった。 炭治郎の家族を見て、カナエは殺された両親を思い出し、そして蝶屋敷にいる妹のことを想って会いたくなった。 カナエと義勇は、また来るということを炭治郎に伝えてその山を下りた。 「冨岡くん、このあとどうする?」 「……どうする、とは」 「お館様に、どう報告する?」 「……俺には関係ない」 「えっ、どういうこと?」 すでに自分達の鎹鴉が、お館様に報告しているだろう。 それに報告をするにしても、手紙が下手な俺よりも胡蝶カナエがやった方が、必ずしっかり詳細をお館様に伝えてくれる。 だから、「俺には関係ない」 そう言って義勇は、カナエを残して次の仕事に向かった。 「はぁ……やっぱり冨岡くんは、何を言っているのかわからないわ……」 次の話はこちらです。

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